海洋空間佳本


荒仏師 運慶 荒仏師 運慶」★★★★☆
梓澤要
新潮社

2017.2.23 記
構成的には愚直なほどに一本調子で、平板、平坦な流れになってしまっているが、平安末期から鎌倉に掛けて生きた仏師がどのような心境を抱いていたのか、当時の世相にとって仏道とはどんな存在だったのか、といった事柄が鮮やかに紡ぎ出されており、読み応えがあった。
運慶という人物に関しては現存している情報がとても少ないはずだが、その限られた事実が想像力豊かに肉付けされていることによって、まるで本当のノンフィクションを読んでいるかのような気にさせられる。
造仏等に関するエピソードがちょっと多過ぎるように感じたので、もう少し絞った方が読み易かったかも。





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