海洋空間佳本


クライマーズ・ハイ クライマーズ・ハイ」★★★★★
横山秀夫
文藝春秋

2012.7.23 記
今更ながら名作回顧。

まずは新聞制作現場の圧倒的なリアリティ、それから登山を材料にした同僚や家族との絡み、社内の派閥抗争、主人公の生い立ちに関するコンプレックス、そして17年の時を隔てた見事な構成。
ひょっとしたらもう少し要素を削いだ方がよりまとまったのかもしれないが、それにしてもすべてをひっくるめて卓越した名人芸だ。
最初の数十ページにおける握力はもう飛び抜け過ぎている。
もちろん著者の来歴なくしてこの描写はありえなかっただろう。
紛れもない傑作。





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