海洋空間佳本


皆川博子長篇推理コレクション3 皆川博子長篇推理コレクション3」★★★★☆
皆川博子
柏書房

2021.5.26 記
まるで往年の2時間もののサスペンスドラマを観ているかのような錯覚に陥る。
無論、そんな枠組みに収まるスケールでないが…。
「知床岬殺人事件」では、取材テープのトリックが実に鮮やかに示され、「相馬野馬追い殺人事件」の方は、現代では甚だ希薄となった"家"という仕組みや、土着的な因習などが強く印象に残る。
いずれにせよ、著者が嘆かれているように、まさしく"読み捨ての軽い暇潰し"と捉えられても仕方のないタイトルでありながら、しっかりと筋の通った上質のミステリーであることは間違いなく、「意に沿わぬ作品群」と回顧されるノベルスシリーズをここまでのレヴェルに仕立てているところ、さすがの実力と感服せざるを得ない。





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