海洋空間佳本


水の棺 水の柩」★★★★☆
道尾秀介
講談社

2014.8.20 記
確か、数年前に道尾秀介氏が「情熱大陸」に出た時、執筆していたのがこの小説ではなかったかな。
いじめ、自殺、そして成長…と、道尾作品にとってはいわば定番とも言えるような舞台設定がなされ、プロット自体もシンプルで、込み入ったミステリーなどのような仕掛けはまったくない。
にも拘わらず、真骨頂とも言える叙述的な筆運びや、"天泣"、"蓑虫"、"お化け屋敷"などといったモチーフを巧みに絡める高い技術と相まって、しっかり読ませる力はさすがだ。
終章に入ってからの盛り上げ方など、本当に上手いと思う。





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