海洋空間佳本


王妃の離婚 王妃の離婚」★★★★★
佐藤賢一
集英社

2011.5.18 記
舞台設定のせいなのか、はたまた若干持って回ったかのような言い回しのせいなのか、序盤はどうにも読み辛く、とっつき難かった。
いや、たぶん模擬裁判風の問答のせいかな。
ところがフランソワ・ベトゥーラスが王妃の弁護を引き受けるあたりから、俄然物語は吸引力を増す。
もちろんフィクションだから、力技のご都合主義を感じぬわけではないが、それを差っ引いても娯楽性は十二分。
どちらかといえば直球のストーリーに、程よくスパイスを効かせる具合のミステリー性も見事に好バランスを生み出している。
そして何といってもラストが抜群にいい。
うん、面白い話だったな、と比較的ライトな心持ちで読了しようとしている読者の心を一気に揺さぶる秀逸のラストシーンに、星5つ。





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