海洋空間佳本


勇者たちへの伝言 勇者たちへの伝言」★★★★☆
増山実
角川春樹事務所

2017.9.12 記
「これは果たしてどの程度ご自身をモデルにしているのかな?」などと邪推をしながら、そして私が作品世界の中心である西宮市民ということもあり、序盤からスルリと楽しく入り込むことができた。
そんなライトな気分で読み進んでいたら、中盤以降、戦中戦後の重い時代を背景に、舞台は朝鮮半島、さらにはカリブ海の島国にまで広がっていき、見事に読中のテンションをコントロールされたというか。
北朝鮮国内の情勢など、真実がどうだったのか私には分からないが、取材と考証を存分に重ねたであろうと容易に推察できる。
全体のヴォリュームに比すとあるいはちょっと要素が多いかな、という気がしないでもなく、また各ブリッジの渡し方も若干ぎこちない印象はあるが、本流たる骨格が非常に強固で、読み応え充分だった。





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