海洋空間車



MGFからアルファスポーツ156ワゴンへ〜乗り換えの道程


その1「次期愛車探しのきっかけ」   2004.3.24


1998年4月、独身時代に購入した愛車・MGF。
2人乗り。マニュアル・トランスミッション。MR。オープンカー。
ギリギリ、スーパーカー世代であるボクにとってそれはものすごく楽しい車だった。
エンジンこそローヴァーと共通の1.8Lで、絶対的パワーは持ち合わせていないが、
車重が軽量ゆえ充分な加速感、そしてミッドシップ・レイアウトがもたらす、
過敏でもなく鈍感でもないジャストなハンドリング。
屋根を開けて琵琶湖の湖岸道路や六甲のドライヴウェイを流す時の、
えも言われぬ爽快感。
加えて外寸が小さいから街中や路地、狭い駐車場でも取り回しが非常にラク。

MGF
これがMGF(ボクのものではありません)


決してピュアなスポーツカーではなく、
あくまでも“スポーツカーの雰囲気を目いっぱいその身にまとった”
という表現がピッタリの英国車だが、
そのちょっとかわいらしいエクステリアも好きだったし、
ボクにとっては本当に楽しかった。

ところがそんなお気に入りのMGFの、メリットよりデメリットの方が目立ち始め、
使い勝手の悪さがドライヴィングの楽しさを脅かし始める日々が訪れつつあった。
きっかけは、独身ではなくなったこと。

独身の時にはMGFの他に実用車として4ドア・セダンも持っていたので、
その頃はもちろん何も問題はなかった。
セダンを手放しMGF一台になってからも、2シーターゆえ友達を乗せられないとか、
ボクはスノーボードが好きなんだけど、マイカーでゲレンデに出向くことができないとか、
ホームセンターで大きな買い物をしても
長尺物が積めないとかの不便を感じることは無論あった。
しかしその頻度といえば、せいぜい年に数回程度。
それなりの我慢と工夫さえすれば耐えられない限りではない。

それが家庭を持つとやはり事情は一変する。
感じる類の不便性はまったく同じようなものなんだけど、
その回数が格段に増えることとなった。
つまり、家庭用品など大きな買い物をする機会も多くなるし、
またボクの分と妻の分、人間関係が単純にいうとほぼ倍に拡大するわけだから、
必然的に3名以上の人員で移動すべき機会も増えてくる。
ボクや妻の母親が遊びに来た時なんかは、さらに哀しい。
「じゃあ海遊館(大阪にある水族館)でも行こっか!電車で!」
…。

MGFは楽しいし、好きだ。
でもそれがセカンドカーならなんの問題もなく成り立つんだろうけど、
一台のみのファミリーカーとしてはやっぱしもう限界だあ!
というわけで、うちは2004年春に新居への引越しを予定していたので、
住民票や車庫証明も移転することだし、購入時期としては転居後まもなくと予定して、
2003年9月、次期マイカー探しに取り掛かったのである。

次に買う車の条件として、まず思いついたのが以下の通り。

 1.普通に大人4人が乗れる
 2.マニュアル(気に入れば2ペダルMTも)
 3.都会の道路事情にマッチしたコンパクトサイズ
 4.もちろんスタイルが気に入る
 5.もちろんリーズナブル
 6.ドアが4枚あること(車に興味のない妻・ユカリンが唯一譲らない主張)

これらを元に自動車雑誌やWebを念入りにチェックしながら、
気になる車種をピックアップしていく。
ここである程度予想はしていたことだが、
条件の1と2、つまり4人以上乗れてなおかつマニュアル、
という条件を満たす車がとても少ないことに気付かされる。
日本車に限ればそれをクリアする車は本当にビックリするほど少ないし、
欧州車にしても、こと日本仕様となるとオートマティックしか設定がない、
という車が存外に多いのである。
もはや日本はアメリカを超えて世界一のオートマ大国かも知れん。

人それぞれ、車というものに対して求めるものは違っている。
“ラクで広くて快適な移動空間”を第一義に置いている人もいれば、
“運転して楽しい大人のオモチャ”としての意味を期待する人もいる。
圧倒的に後者の立場であるボクとしては、
このたび必要最低限の利便性を求めて車を買い換えるとはいえ、
マニュアル・トランスミッションという要素だけは譲り難いものなのだ。
AT車のあのアクセル・レスポンスの鷹揚さは、
少なくとも体が元気な今のうちはまだいらんな、と思っている。


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