海洋空間女であり過ぎた女の日常



第20回 ブラックホール   2004.1.16



まだ暑い夏真っ盛りの頃から体調を崩し、ヘンだな?と思いつつ病院へ。

お医者から「休職を」という宣言が下って
ショックのあまりぶっ倒れてしまった(←比喩ね)。

な・な・なんですとー?
今アタシ聞き間違ったのかしら?

聞き間違いではなかったのでした。
あの。
私が一応大黒柱なので、ちょっと、いえ、ちょっとじゃなく非常に困るんです。
通院ではだめなんでしょうか?

駄目だったのですね。
大黒柱とは?の質問に『黒い大きな柱♪』という、
よそんちの息子の元気な答えが頭の中をクルクル廻る。
ショックを受けると条件反射的にくだらないことを思いつくらしい私の頭。
それをそのまま口に出すから、見かけ平気そうに見えるらしく、
一日家にいる私の元に、前より一層訳分からん話が舞い込んでくる。

曰く、
俺の友達がな、愛人と奥さんと3人で暮らしてんの。
ハーレムやん!あぁ、なんて羨ましい生活!!


曰く、
俺の知らない間に子供が生まれていた!
別れてから5年後に知った…ショックだ。


曰く、
旦那に不満は無いけれどさぁ、彼(旦那じゃない)の子供も産まれたし。
もう彼の元へ行く。
気持ちはもう旦那にないから、一緒にいるの無理だもんね。


その彼曰く、
もう随分待っているのに、離婚が進まないなんておかしい!
これじゃ俺が他の人に心を移しても無理もないと思わないか?
(思わねーよ最低だ)


曰く、
最近オカマバーに連れられていってさ、俺モテるんだよね〜。
なんかいろんなゲームして景品いっぱい貰ったよ♪
ゼリーとかバ○ブとか♪今度あげようか?(いらねー)


曰く、
6年間、同棲していたんだけどさ…俺、ふられたんだよね。
もう彼女には新しい彼氏がいてさ。


さて、休職中に周りは畑しかないんじゃないか?
という田園風景も美しい山の上の団地に引越しをした。
病を患って役立たずな私のフォローとして、
親族&友達総勢7名が加わる大引越しだったんだが
(そんなに家財道具もないんだけどね)、
おかげで、引越しなんて無理ではないか?
と半分諦めていたのに、できちゃったんですね〜。

夜、ベランダから空を見上げると冬の星が美しく輝いている。
以前住んでいた場所が駅から2、3分という絶好の場所だったため、
星を眺めつつ「本当に引越ししたんだなぁ」と、平和な景色の中、しみじ〜みする。
すると電話が鳴る。

周りの風景とあまりにもギャップのある内容にクラクラと目眩が。

なんでか、ちょっと他人には言えない話を打ち明けるには、丁度いい人間らしいのだな。
それはいいのか悪いのかは『?』なんですね。

今のオイラは『負』のブラックホールのような存在になり、
人間の持っているあらゆる『負』や『ダークサイド』が
まるでプールの栓を抜いた時に水が小さな、
でも強力な渦を作りながら吸い込まれるように
オイラの元に引き寄せられているのだろうか?

な・わきゃ〜ないか。

友人関係のみなさん、きっとご存知でしょうけど、
オイラ今、病気療養中なんだよね。
「どうしよう?」と聞かれても、オイラがどうしよう?って感じで。
ごめんね?
ついでに、100年も生きていないからアドバイスできるほどの経験もないんだよ。

と心の中で考えつつ言わない。
ただ聞いているだけ。
アドバイスを求めている人は、
自分の求める意見じゃないと怒るということに気付いたから。
でもオイラは、それ程優しくないので
彼or彼女の求める意見ばかり、嘘ついてまでは言えん。
(といいつつ、最後まで聞いているだけ、は無理だよなぁ。
 人間ができていないため、やっぱり反論してしまうのよね)

が、しかし反抗期の我が娘達は少々勝手が違う。
ホントに聞いているらしいので、
オイラの『ただ聞いているだけ』のスタンスがえらく気に障るよう。

「メイクのことなんだけど、なんか意見言ってくれる?」

意見を正直に言うと、

「はっ。ママに聞くだけ無駄だったヨ。」

と吐き捨てやがる。
ママに聞くだけ無駄なので、お友達の意見や提案を受け入れた結果が、

クレオパトラメイクのユリ!

休み時間に『ギャルメイクしないぃ?』という提案に、
友達同士4人でお互いの顔にメイクをやったはいいけれど…。

先日、三宅さんの司会の番組で、クレオパトラのメイクの話が出ていたんですね。
そのメイク法とは、眼の周りを黒く縁取り、
目蓋にはブルーやグリーンのキラキラ入りアイシャドウで神秘的に仕上げるん
だが、
ユリのメイクは、
上目蓋の黒い縁取りの面積が広いため&
キラキラグリーンではなく白を乗せた
ため…、

「悪いごはいねが〜?」

ナマハゲメイクとなったのでした。

学校の廊下でナマハゲメイクの女子高校生が4人。
ひょっとしてヤンキーより迫力あるんじゃないか?
すれ違う人みんな、
「えーっ!」
「ウッソー!!」
「キャーッ」
などの奇声をあげてカメラを向けたそうだ。
「イエーイ!」
Vサインで答える『ナマハゲ4』←モー娘。のノリで。
学校帰り、すれ違う子供がきっと泣き出しただろう…。

「んなわきゃないじゃん!でもカッコいいでしょ♪写真撮ってもいいよ☆」

と言ってるそばから、また携帯が鳴った。
出てみると、2年くらい音信不通になっていた友達だった。

「去年、一昨年と景気が悪くて、マジに会社たたもうかと思って(彼は2代目社長)。
 泣きそうでした。やっと少しだけ余裕が出来たから電話を…。」


が聞いていると、少しだけの余裕というのは
家に帰る時間がもったいなくて車の中で寝ていたのが、
事務所の中で眠れるくらいになった程度。

あぁ、ブラックホールはまだ続く。
願わくば、アヤの受験前には閉じてもらいたいので、
お星さまにお願いして寝まふ☆






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