海洋空間佳本


キャンプをしたいだけなのに キャンプをしたいだけなのに」★★★★☆
山翠夏人
TOブックス

2026.2.16 記
正直言って、事前に想像していたよりもまず文章がしっかりしていることが、嬉しい誤算だった。
どうしてもこの手の小説は、そもそものところから厳しいものが多い…という偏見を持っていたが、このデビュー作の体裁は充分商業作品たり得るクオリティに達していると思う、僭越ながら。
著者のプロフィールの詳細は存じ上げないが筋金入りのキャンパーらしく、さすがキャンプの描写もリアルで、違和感なし。
内容はまるでパニックアクションホラームーヴィー? のようで、ヒロインが総力を尽くして脅威と死闘を繰り広げる…というベタなものだが、締め括りの後日譚のくだりで、まるで別の小説? と思うほど一気に様相が変わる。
あまりの振れ幅に一瞬面喰らうが、主人公のナツが見事に再生を果たすこのパートがとても良かった。
ちゃんと最後で"人間"を描いているという点も、ポジティヴな裏切りを感じたところ。
また、ファンタジーをリアルにまぶす具合もちょうど良い塩梅だ。





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