海洋空間佳本


宇喜多の楽土 宇喜多の楽土」★★★★☆
木下昌輝
文藝春秋

2018.5.30 記
宇喜多の捨て嫁」に続く、宇喜多家のその後を描いた物語。
相変わらずの手練で、期待に違わぬ良質のエンタテインメントとして楽しませてくれる。
一連の宇喜多家クロニクルは、佐藤賢一氏の「黒い悪魔」、「褐色の文豪」の関係性にもよく似て、彷彿とさせる。
象牙色の賢者」よろしくもう1冊出たりして。

関ヶ原の戦いとその前後を収めた作品はフィクション、ノンフィクション問わず数多いが、それらと比べて読んでみるのもとても面白いと思う。
私の場合は「とっぴんぱらりの風太郎」(万城目学著)に出てくるキャラクターを想起したりして、なかなか興味深かった。

「宇喜多の捨て嫁」でもそうだったが、ラストで一気に家族愛の部分に焦点を結び、感情優位の精神状態に力づくで読者を引きずり込むところがまた、何とも言えぬ剛腕ぶりだ。





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