海洋空間シンシナティ&シカゴ旅行記



第5日
2015年7月16日(木) 「オークパークとフィールド自然史博物館」
     2015.8.30 公開


7時に起き、朝食を頂き、I夫妻は所用のためお出掛け。
私たちも少ししてから、9時に家を出る。
この日はctaというシカゴ市内を走る鉄道を利用し、フランク・ロイド・ライト自邸見学ツアーに参加するため、
オークパークという駅を目指す。
このツアーは人気があるらしく、念のため前夜のうちに、オンラインで10:40スタートの部を予約しておいた。

この上が駅
この上に駅がある

最寄りのステイト/レイクという駅からグリーンラインに乗り、西に向かう。
駅は小規模でホームも狭いが、木でできた床が趣がある。
車両も小さめ。
途中、昨日訪れたユナイテッドセンターも脇に見えた。
中心部から西方に移動するにつれ、周りの景色は旅行者にとってはちょっと警戒心を呼び起こされるような雰囲気に変わっていく。
客層も心なしかデンジャラスな感じになってきたように思う。

ctaに乗り込む
ctaに乗り込む ホームは木

車窓から
車窓から 西に向かうにつれ雰囲気が変わっていく

おそらく40分ほどかかっただろうか、終点の1つ手前の目的地、オークパーク駅に到着したが、その少し前から雨が降り出していた。
I夫妻の奥さんの方、Aさんが「今日は雨が降りそう」と気を利かせて折り畳み傘を持たせてくれていたので心配はなく、
またctaを降り、歩き出してほどなくすると雨の勢いは弱まり、次第に止んでいったのも幸運だった。

住宅街を10分ほど歩き、フランク・ロイド・ライト自邸&スタジオに着いた。
ちなみに道すがらにある、これもライト設計のユニティテンプルという建物はあいにく工事中で、見学できず。
また、この道中で持参していたコンパクトデジカメが壊れてしまい、一眼レフは今日はいらんだろうとI邸に置いてきてしまっていたので、
ライトの自宅見学ツアーはあえなくiPhoneでの写真撮影となった。
ガクッ。

ユニティテンプルは工事中だった
ユニティテンプルは残念ながら工事中だった

初老のヴェテランガイド引率の下、10人ほどの同行者とともにライト自宅をつぶさに観て回る。
前庭は広く開放的だが、中に入ってみると意外なほど造りは小ぢんまりとしている。
ガイドも言っていたが、例えば屋根や庇の形状、窓のデザイン、バスルームのコンセプト、
またインテリアに浮世絵も飾られるなど、随所に日本建築の影響が見られる。
建具が最小限で、完全に独立しているように見える各空間が実はどこかで緩くつながっていたり、
とても120年以上前に建てられた家という印象は受けない。
隣接する、ライトが若かりし頃に仕事場としていたスタジオも案内してもらったが、
たまたまこの日は子供たちがそのアトリエでワークショップをしている最中だった。
未来の建築家たちにとって、素晴らしい経験となることだろう。
非常に中身の濃い、75分に及ぶツアーであった。

フランク・ロイド・ライトの自邸
フランク・ロイド・ライトの自邸

水屋のような食器棚も
まるで日本の水屋のような食器棚も

チャペルのホールのようなスペース
チャペルのホールのようなスペース

キッチンスペース
ガスストーヴのキッチン

スタジオではワークショップが開かれていた
かつての仕事場ではワークショップが開かれていた

浮世絵などのインテリア
日本から持ってきたであろうインテリアも

近くにあったジョルダーノスという店でランチを食べる。
昨日、I夫妻に教えてもらったシカゴ名物"ディープディッシュピザ"をぜひ食したいと思っていたので、ちょうどよかった。
通常のピザとは違い、その名の示す通り、5cmほどあるんじゃないかという分厚いこの一品、
I夫妻は「美味しいかどうかは分からないけど、シカゴでしか食べられないものには違いないので、気が向いたら…」
という勧め方をされていたのだが、いやいや、味は申し分なかった。
まるでパンのような生地がとても美味い。
ただ、安価なランチセットメニューのものが6インチというサイズだったのだが、
その量がやはり尋常じゃなく、頑張ったけど4等分のうち3切れ喰ってギヴアップ。
無念。

シカゴ名物のディープディッシュピザ
シカゴ名物、分厚いディープディッシュピザ

食後、再びフランク・ロイド・ライトスタジオに戻り、午後からはオーディオツアーに参加してみる。
トランシーヴァーのような機器を渡され、そこから流れる音声ガイドを聴きながら、
このエリアに点在する10ほどのライト設計の邸宅を観て回るというツアーだ。
ありがたいことに日本語ヴァージョンもある。
また、ツアースポットの邸宅はほとんど現在も居住者がいる現役なので、敷地内には立ち入らないようにとの注意を受ける。

ツアーの起点となるスタジオ
ツアーの起点、フランク・ロイド・ライトスタジオ

芦屋にあるヨドコウ迎賓館を観た時も感じたが、ライト建築はとにかく"横の線"が印象的で、
水平にどこまでも広がっていきそうな雰囲気がある。
個人宅のような規模の建築ならば、丘陵地よりもこのオークパークの家々のように真っ平らで広い敷地に建っている方が、
ビタリとハマっているようにも思う。
とある家の敷地には、いつぞやの万博の日本館に使用されたという四阿が移築されていたりもした。
楽しかった。

横の線が印象的なライトの作品
横の線が印象的なライトの作品

右奥には四阿が見える
明らかに日本建築の影響が見てとれる 右奥には四阿がある

フランク・ロイド・ライトスタジオを後にし、アーネスト・ヘミングウェイの生家だという建物の前など通り過ぎながらオークパーク駅に戻り、
14時過ぎ、グリーンラインに乗って市街へと帰る。
この辺りはやはり車内の黒人率がとても高い。

15時前、降車はステイト/レイク駅ではなく、ルーズヴェルトという駅で。
この後は、ミシガン湖畔にあるフィールド自然史博物館に行くのだ。
これも前日、なんとここにはT.rexスーが置いてあるとI夫妻に聞き、これはぜひとも観ねば、と思っていた。
私は10年前大阪市立自然史博物館に、"スーが来た"という触れ込みに興奮して恐竜博2005」なるイヴェントを観にいき
その展示されているスーがレプリカだった、と知って意気消沈した経験がある。
シカゴに来るのにスーのことにこれまで思い至らなかったことは不覚であった。
ちなみにミシガン湖の畔にある遊歩道には、ジョガーたちの姿が多数。

フィールド自然史博物館にやってきた
フィールド自然史博物館にやってきた

ついに、世界最大のティラノサウルスの全身骨格標本、スーの本物をこの目で観ることができた。
まさに感無量である。
奥の方に広がっている恐竜展示エリアも非常に充実している。
他には、ネイティヴインディアンのコーナー、古代エジプトのエリアなどが濃かった印象。
3Dシアターでは、ガラパゴスを描いた映像作品を観た。
17時閉館ということで時間があまりなく、例に漏れず施設のスケールがいちいちデカいので隅々まで回ることはできなかったが、
観られたものはどれもとても面白かった。

本物のスー
これが本物のスー

ネイティヴアメリカンの仮面
ネイティヴアメリカンたちが使っていた仮面

水棲生物の化石も充実
水棲生物の化石も充実していた

タクシーに乗って帰るのもなんだかな、という心持ちでいる時、湖畔に観光ウォータータクシーを発見。
これだ、とばかりに乗り込み、水路で帰ることにする。
湖の西端、ネイヴィーピアの船着き場で一旦降りて、シカゴ川を走るウォータータクシーに乗り換え、ミシガンアヴェニューで上陸。

ウォータータクシーで移動
ウォータータクシーで移動

ミシガンアヴェニューが近づいてきた
ミシガンアヴェニューが近づいてきた

降りてI夫妻邸のマリーナシティ目指して歩いている時、これまで何とか持ち堪えていた雨がいよいよ降り出し、直に本降りとなってきた。
リグレービルディングに入っているギラデリというチョコレートショップに入り、クッキービッツサンデーというスウィーツを食べる。
繰り返すがこれまたデカく、美味しかったのに2人でシェアしても少し残ったという非常識ぶり。
参った。
お土産用にチョコレートも購入したが、はっきり言って価格はかなり高め。

クッキービッツサンデー
クッキービッツサンデー

18時過ぎI夫妻邸に帰着。
2人も当然すでに在宅していた。
今日一日、いわば都市型の観光を満喫した。
たいてい秘境と言われるようなところを旅行先に選ぶことが多い私たちだが、たまにはこんな旅もいい。
東京大阪とはまったく色が異なる大都市を歩き、その利便性の恩恵も充分に受けながら、
その土地にしかない観光資源を楽しむことがシカゴではできる。
余談ながら、街ではセルフィーショット、いわゆる自撮りが大流行している様子。
グループで遊んでいたり、連れがちゃんといるのに、敢えてポーズを決めて自撮りをしている人がたくさんいた。

先にシャワーを浴びてから、Aさん振る舞いのタコスパーティーの夕食
多民族国家のアメリカでは、例えばこうしたメキシカンフードの材料なども容易に入手でき、とても美味しく、また楽しく頂いた。
トルティーヤは美味いなあ。

夕食はタコス
夕食はタコスパーティー

この晩もなんやかんやと話が弾み、26時頃就寝。




前の日
次の日





戻る

表紙