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2014年12月27日(土)

京都でノスタルジーを巡る小旅

昨日から1泊で、京都に行ってきた。
特にここ数年、楽しかった大学生時代を過ごした京都の街に思いを馳せることがちょいちょいあり、今回の小旅行の目的はいわば、そんなノスタルジックな気分に応えること。
これぞまさしく、年を喰った証拠だなあ...。


2014年12月26日(金)

9時前ぐらいに家を出て、阪急で河原町へ。
少し歩いて宮川町にある宿泊予定の宿に荷物を置かせてもらい、洛北へ向かう。
京阪出町柳で降り、まずは下鴨神社へ。
大学時代の前半2年は下鴨に住んでおり、この糺の森はその時の普段使いの道のようなものだった。
しかし20歳に満たない当時の私ときたら、この場所が持つ歴史的な意味や価値など皆目解せず、虚けのようにただ通り過ぎていただけ。
なんともったいないことをしていたのだろう。

糺の森を貫くこの参道を何度歩いたことか楼門

楼門をくぐったあたりで小雨が降り出し、足を速めて一回りした後、さらに北へと足を延ばす。
そういえば下鴨神社は来年式年遷宮を迎えるみたいだ。

かつて通っていた食堂が今もボロボロながら(失礼)何とか営業を続けている様を確認してホッとし、でももう1つの食堂はまったく違う店に姿を変えていたり、当時住んでいた下宿の建物も今や影も形もなく、誰かの家が新しく建っていたり。
昼食を摂りに訪れたのは、松ヶ崎にあるル・プティ・プランス。
20年前にアルバイトでお世話になった店だ。
オーナーご夫妻とお会いするのはかれこれ4年弱ぶりになるが、変わらず壮健なご様子で何より。
こちらも変わらず流れるビートルズをBGMに、美味くてアットホームなフレンチを頂いた。
店内はほぼ満席で商売も繁盛されている。

ル・プティ・プランスタラのアーモンドソース

レストランを出て東へ歩き、叡山電車に乗るため一乗寺へ。
その前に通りがかった恵文社に吸い込まれてしまい、予定外にしばしの時を過ごすことになった。
こういう楽しい店がうちの近くにもあればいいのになあ。
しかし、いかにも京都、それも洛中ではなく学生街にふさわしくもある。

楽しい恵文社

叡電で目指すのは鞍馬。
ここも学生の時に暇があればよく訪れていた山だ。
いざ着いてみると、山は雨模様。
ずっと本降りというわけではないが、散発的にサーッと雨粒が落ちてくる。

雨の中天狗と記念撮影

茶店で栗ぜんざいとわらびもちをつまんでから、上り始める。
こんな天気だからなのかもしれないが、鞍馬山が持つ霊気のようなものをこの日は一段と感じる。
昔日の先達がここに籠って修行をしようと発想したのも自然とうなずける。
本堂に辿り着くと、降っているのは雨ではなく雪。
山だなあ。

本堂には雪

大学生の時はよくここから貴船へと抜けていたが、今回はそのような時間も装備も持ち合わせていないので、鞍馬駅へ向かって引き返す。
下りは初めてケーブルカーにも乗ってみた。

叡電、京阪で街へと戻り、京の小宿 宮川町 よし井へチェックイン。
歌舞練場に隣接し、今年6月にオープンしたばかりという町家の旅館は、3部屋しかない小ぢんまりとした宿で、部屋も広くはないが清潔で使い勝手が良く、檜風呂の香りも心地良い。

京の小宿 宮川町 よし井部屋内の様子

少し休んでから、夕食を摂りに祇園の下河原にある美濃幸へと向かう。
道中の路地も、まさに祇園といった趣きで、歩くのも楽しい。
美濃幸は実は、昼に行ったル・プティ・プランスのオーナーシェフの実家筋に当たる料亭で、一度行ってみたいと思っていた。
創業100年を超える美濃幸は、いざ足を踏み入れてみると、その歴史にふさわしい格調高い店だった。

アプローチも雰囲気がある美濃幸

暖かい足元がありがたい掘りごたつ式の個室は、カウンターに5人は座れるほどゆったりしており、サーヴィスも過不足ない。
もちろん懐石の各品もどれも趣向が凝らされて美味く、他の国の料理にはない日本料理ならではの細やかさを改めて感じさせてくれた。
ちょっと贅沢をしてしまったが、腹も心も満たされた。

モロコも入った前菜柿の膾と蟹と昆布の酢の物

檜風呂で温まって、24時前には寝た。


2014年12月27日(土)

7時半頃起き、8時過ぎから朝食。
夕飯のついたプランはないこの宿だが、朝食にはいわゆる京都のぶぶ漬けが供される。
釜で炊きたてのごはんが美味しく、朝から珍しくおかわりをしてしまった。

ぶぶ漬けの朝食

10時前にチェックアウトし、すぐ近くにある建仁寺へまずは向かう。
以前に仕事で一度訪れたことがあるのだが、その時に庭園の美しさが印象に残っていて、ぜひプライヴェートで再び行きたいと思っていた。
俵屋宗達の風神雷神図(本物も所蔵されているが展示はレプリカ)や海北友松の雲竜図(これも同様)、2002年の作と新しい法堂天井の双竜図など、迫力あるアートを愛でた後、いよいよ潮音庭へ。

風神雷神図雲竜図双竜図

ほとんどの木が葉を落としたこの季節だが、さすがこの庭はどの方向から眺めてもやっぱり美しい。
私の限られた見識内だが、未だこの潮音庭の完成度を超える庭を見たことがない。
眼福。

潮音庭潮音庭 その2

建仁寺を後にし、祇園の小路をうろついてから、高台寺の近くにある萬治郎という店で昼食にする。
生麩や湯葉、豆腐が実にいい。
こういったものの美味しさが分かるようになったのも、ある程度年を取ってからだなあ。

目にも鮮やかな膳

そして午後は、大谷祖廟をぐるりと見て回ってから知恩院へと移動し、少し歩いたり休憩したりしてから、14時より始まる除夜の鐘の試し撞きを見る。
知恩院といえばNHKの「ゆく年くる年」でもおなじみの、僧が裏返って全身をアクロバティックに使い巨大な鐘を撞くアレが有名だが、この日行われたのはそのリハーサルのようなものだ。
ひしめく見物客に囲まれ、1人が2回ずつ、大鐘を撞いていく。

除夜の鐘の試し撞き

年若い僧には指導役の先輩格が細かく教えてはいるが、手が滑ってコケてしまったり、掛け声が小さくて失笑を買ってしまったりと、クスッとしてしまう失敗も。
いやあ堪能した。
御影堂や三門は大きな工事中だった。

円山公園を抜け、茶店に入り抹茶チーズケーキやらで少し休憩してから、阪急で西宮へと帰ってきた。


♪ Snowman - Rainbow